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〜宮古から世界一〜
  Vol.003
2004/09/15
 宮古島は世界地図では点ほどでしかない島だ。国内でも地図で「宮古はここ」と指差せない人は多い―実際に僕もその一人だった。都会で活躍する知人から指摘されることがある。
 「ゆっくり暮らせていいけど、何をするにしても田舎だから難しいんじゃない」。
 そうかな―田舎だろうが都会だろうが、世界の何処にいようが、大きな目標を信じて進めば必ず納得のいく成果がついてくる。場所ではなく、素敵な人生を導き出すのは「気持ち」だと思うけど。
 この前書きを地で行くのが、一人の高校教諭が顧問として生徒たちを率いる有機肥料の研究グループ―沖縄県立宮古農林高校環境班だ。研究機材も施設も整わない中で授業の一環として教諭と生徒たちが始めた研究活動が八年の歳月を経て世界一までたどり着いた。はじめは校内、次に県内、国内、そして世界で研究成果が高く評価され、八月にスウェーデンで開催された水のノーベル賞と呼ばれる「ストックホルム水大賞」の青少年版―ストックホルム青少年水大賞に輝いた。
 生活用水すべてを地下水に頼る宮古で有機肥料開発を通し地下水を保全するという環境班の地道な活動は長年認知されるものではなかった。この間に約七十人に及ぶ生徒たちが研究を順に引き継いできたという。


スウェーデンから凱旋し受賞を報告する
環境班代表メンバーら=宮古空港で
 環境班に出会ったのは頑張りがようやく報われ始めた一年半ほど前。顧問の教諭は「研究の方向性は間違っていない。必ず成果は出ると生徒と自分に言い聞かせ信じてきた。何処にも認められずに辛かった。この成果はこれまで頑張ってくれた生徒たちのおかげ。本当に感謝したい」と熱く語っていた。
  地域から世界までの道は一見、つながっていないように感じる真っ暗な道。地図にも載らないような小さな島から出発し、八年かけて歩き続け世界の扉を開けた瞬間。それは「道は何処からでも世界につながっている」ということを実証した瞬間でもあった。
  沸騰するような生き方―先生の姿に惹きつけられ生徒たちも沸点ギリギリまで自分たちを引き上げる―熱々の毎日こそが世界への道程だったのでは。身近で活躍を見守れたことに感謝するとともに、世界一の栄冠を心から祝福したい。
  ※受賞詳細は「日本水大賞」、「SIWI」のホームページ参照。
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