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〜サトウキビ畑〜
  Vol.005
2004/10/15
 日差しが少し和らぎ、風に秋の冷たさが混じり始め、宮古島ではサトウキビの苗を植えつける季節を迎えた。この時期になると、あちらこちらの畑で休日のたびに家族総出で苗を植えている姿を見かける。
 トラクターで土を掘り起こすお父さんを先頭に、苗を植える係、肥料を撒く係、土を被せる係などおじいやおばあから孫たちまで家族が一列に並び、大きな畑でゆっくり進む作業は愛くるしく、なぜだか懐かしい気持ちでいっぱいになる。
 宮古島には本当に畑が多い。家が立ち並ぶ中にポツンとあると思えば、一家族の畑が何反も延々と続くところもある。サトウキビは収穫まで通常一年半かかる。植え付けの時期は年二回。春先に植えつけその冬に収穫する「春植え」と、夏の終わりから秋口にかけて植え付け再来年の冬に収穫する「夏植え」だ。
 植える時期も収穫の時期もそれぞれの畑によって違うため、赤土をむき出した更地だったり、サトウキビが植わっていたりとバラバラで面白い。島中にある畑のおかげで空から見るとギンガムチェックに見えるのだ。
 車の速度とは対照的にゆっくりと進む作業。至る所で目に飛び込んでくるスローな光景と人間の力を超えた機械的な速さに慣れ親しむ僕。同じ島に暮らし、同じ時間軸で生きているはずなのに、「時」はまったく違う流れ方を見せている。
 忙しい植え付け作業のはずなのに、大きな大地・畑に飲み込まれると止まったようにゆっくりとした「時」に変わる世界。人間のリズムを見つけたような気がする。大地とともに進む時間。スローなのではなく、僕が速いのだ。いつの間にか当たり前になっている機械的な速さに僕の暮らしは詰め込まれていた。
 春植えは一年弱で収穫できるけど収量は少なく、夏植えはゆっくりだけど収量は多いという。同じ時間で生きるならゆっくりでもいいのかも。サトウキビ畑を見ていると探していた時間を見つけたような気がする。



ある休日大きな畑でサトウキビの苗を植える家族
=平良市内のほ場で

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