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〜ナーフィー〜
  Vol.009
2004/12/15
赤ちゃんの健やかな成長を願ってオトーリを回す
新前おじいちゃん(中央)=平良市内の民家で


 素敵な祝宴が開かれた。赤ちゃんの誕生を家族や親戚、友人、地域住民など大勢で祝う「ナーフィー」だ。ナーフィーは出産祝いであり名付け祝いでもある盛大なお祝いで、赤ちゃんが生まれた家が知人縁者を招待し、新前両親が命名の札を「よろしくね」と手渡して赤ちゃんを紹介していく。赤ちゃんが地域への仲間入りを果たす、家族にとって大切な行事の一つだ。
 成人式や入学・卒業、新築祝いなど数ある祝宴の中でもナーフィーは素敵なお祝い。家族親戚だけでなく、友人、会社の上司や同僚、隣近所の住民までもが駆けつけて赤ちゃんの誕生を喜び今後の健やかな成長を願う。
 ご馳走を食べながら酒を酌み交わし、「目が可愛い」「おじいに似ている」「立派に育てよ」などなど話題に上るのは赤ちゃんのことばかり。誕生した新しい命をみんなで歓迎し幸せを願う場はなんとも心地良い。
 宮古では慣例の飲み方「オトーリ」―親が口上を述べて場の全員に一杯ずつ酒を回していく飲み方―というものがある。宴での口上が良い。生まれてきた赤ちゃんに、新しい親、祖父母に向けて「おめでとう」と激励の言葉を贈っていく。宴で初めて会った人たちも以前から知っていた人たちもみんなが赤ちゃんを中心に「祝う」気持ちで一つになり仲良く時を過ごしていく。
 残念ながら関西にはナーフィーは存在しない。ひょっとしたらあるのかもしれないが、ごく限られた地域か家族のみの祝宴ではないかと思う。都会に住んでいると人付き合いは本当にないし、むしろ疎まれる傾向にある。考えてみると都会での生活は寂しいもの。
 宮古に来て始めて知ったナーフィー。言葉も何も分からない赤ちゃんかもしれないが、あれだけの人たちに自分の誕生をお祝いされるのは嬉しいはず。集まった全員が気持ちよくなる素敵な祝宴だ。


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