宮古島ドットコムへ

ギンガムチェックの島トップへ
〜アーサ取り〜
  Vol.011
2005/01/15

アーサの新芽を選り分けながら取る女性
=平良市の大浦湾で
 年末からグッと気温が下がり宮古にも冬がやってきた。この時期、宮古の海岸は濃い緑色に染まり、ちらほらと女性たちの姿が目に付くようになる。アーサ取りの季節がやってきた。
 寒くなるにつれ海岸には青海苔のような「アーサ」と呼ばれる海草の新芽がびっしりと生え始める。北風が吹きすさぶ中、潮が引き始めるとアーサを求めて何処からともなく女性たちがやってくる。彼女たちはしゃがみながら磯に生えた真新しいアーサの新芽を手際よく選り分け、持ってきたザルに取り入れていく。
 二月下旬ごろまで潮の引いた海岸には、足の踏み場がないほどアーサが自生する。砂浜でもちょっとした岩などにはアーサが生え、緑色に染め上げる。干満によって潮に洗われるアーサ。少し摘んで砂を落とし口に入れてみる。ほんのりと広がる磯の香りと程よい塩味がたまらなく美味しい。こんなアーサが海岸一面に広がっているのだ。
 一月初旬、アーサ取りには少し早い平良市大浦の浜辺に、一人の女性がアーサ取りをしていた。城辺町から来たという女性のザルには既に一杯のアーサが入っていた。
 「アーサは取るのも大変だけど、帰ってから砂を落とすために洗うのがまた大変。だけど美味しいのよね。取ってきたばかりのアーサを汁物に入れるだけで香りも良いし最高に美味しいさ」。
 寒さも忘れ二時間近くも取り続けていたという。一緒に横にしゃがみアーサ取りに参加してみた。女性はアーサの新芽の見分け方や種類、よく取れる場所、最盛期、料理の仕方から保存方法まで惜しみなく教えてくれる。
 「今度ゆっくりアーサを取りに来るよ。きょう中にここのアーサ全部取りきらないよね」。
 「来て取らないともったいないよ。こんなにたくさんあるのに、これからもっと増えるのによ、私だけでは取り切れないさ」と大笑い。
 寒かったけどほんのり温かくいい気分。宮古にはちょっとした心のふれあいと、豊富な自然の恵みがまだまだたくさん残っている。
Copyright© 2004-2005 ShiftEngineering All Rights Reserved.