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〜タバコの花〜
  Vol.016
2005/04/01
  この時期、サトウキビが収穫され、もの寂しい景色が広がる中、車を走らせていると、青々と茂る大きな葉っぱの先っちょに元気一杯に咲くピンクの花が目に止まる。特に最近、雨模様の日が多かっただけに、目に飛び込むかわいらしいピンクの花には元気付けられる。
宮古に来た年、半年ほど過ぎて見たときには何の花か分からず、大きなラッパみたいな花が咲いているとばかり思っていた。咲いていたと記憶をたどり、しばらくしてから 車で通ったときには花がきれいになくなっている。ますます「何の花だったのか」と疑問が膨らんだ。

タバコ畑では一面にピンク色の花が咲いていた=平良市狩俣のほ場で

何の気なしに花のことを知人に聞いてみると、「葉たばこの花」だと教えてくれた。このサトウキビの収穫を終えた寂しい畑に彩を添える葉たばこの花。実はこの花は非常に短命だ。花が咲く頃、葉たばこはそろそろ収穫期を迎える。畑一面に植わった葉たばこにピンク色の花が一斉に咲き始める。
花を観賞できるのは残念ながらこの一瞬だけ。花が咲くと葉に行くはずの養分が花に取られてしまうため、農家の人たちは必死になって花をもいでしまう。きょう見た花も明日にはないということがよくある。
春を迎えた宮古にはソメイヨシノの桜こそないが、大小たくさんの花があちこちで咲き始める。一年中咲いているヒマワリも目立って咲くのはこの時期。刈り取ったサトウキビ畑にもレンゲやクローバーの花、ムツウサの白い花など黄色や紫、白い花が見られ、なんだか懐かしい気持ちとともにホッコリする。
車を運転しながら景色を眺める。青い空に、エメラルドグリーンの海、赤土の畑の中に緑の葉たばこが広がる。先端にはピンクの花が咲いている。宮古の一番良い季節がやってきました。

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