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〜八重干瀬〜
  Vol.0018
2005/5/1
  宮古に住んでいて感心させられるのは「自然の力はすごい」ということ。これまで海と縁遠い暮らしを送ってきただけに、潮の干満のように当たり前のことを目の当たりにするだけでも驚いてしまう。
旧暦三月三日、この日は一年の中でも最も大きな大潮に当たり果てしなく水が引き、普段は見られない陸地が姿を現す。池間島の北に何`にもわたり広がるサンゴ礁群・八重干瀬(やびじ)も引潮に合わせ姿を現す。一年に一度、この時期にだけ海上に姿を現すことから幻の大陸とも呼ばれるほど。八重干瀬では点在するサンゴ礁群がこの日とばかりに浮上し島が出来上がる。
平良港からツアーが出ており、浮上する三日間ほどの間に全国から来た千五百人ほどの観光客たちが上陸し、「海底の神秘」を地上で見学する。
とにかく八重干瀬は大きい。どこかの惑星に降ろされたようで周りはもちろん大海原。突如としてポツンと現れたむき出しの地球といった岩盤が広がっている。そこに足を踏み出し視界が近景に変わると、ヒトデや魚、カニ、色鮮やかなサンゴが目の前に現れる。海に沈んでいたものがそのまま引き上げられた状態。ある程度、サンゴを踏みつけながら上陸する。
ツアーにはサンゴ礁ガイドというボランティアのスタッフが同行しているため、海産物の搾取やサンゴ保全に向けて随時、現場で指導している。上陸した人たちは自然を見学させてもらうだけ。踏み荒らすだけでもサンゴは傷んでしまうのだから当然のことだろう。
ここ数年、天候が悪く寒い大荒れの日が多かった八重干瀬ツアー。ことしは晴天が広がった。三百六十度を海に囲まれ、海面と同じ高さに立ち、見渡してみる。ただそれだけで自然のすごさがヒシヒシと胸に伝わってくる。地球は丸く、海は広い。こんな当たり前のことを自分の目で再確認し、実感する。そこには大自然の寛容さへの驚きと自然への感謝を体感する瞬間があった。



海面に浮き上がった幻の大陸に上陸する観光客ら
=平良市池間島北の八重干瀬で
 
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