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〜多良間島の選挙〜
  Vol.019
2005/05/20
 つい先日、宮古から飛行機で十五分ほどの隣島である多良間村で議会議員の選挙があった。七人の定数に八人が出馬。有権者数は約千人という小規模な選挙区なのだが、一味も二味も違うものだった。
 まずびっくりしたのは街に張り出された候補者のポスターに写真がないこと。一人だけ新人最年少の候補者が写真を載せていたものの、あとの候補者は見事に名前だけだった。さらに驚いたのはフルネームもあれば、呼び名のようなものもあること。宮古でも名前の一部をカタカナにするのはよく見かけるが多良間では本当に呼び名という感じ。関西で「横山ノック」さんのポスターを見たときと同じような衝撃があった。
 宮古以上に多良間は何せ選挙になると真剣。みんな選挙の話で盛り上がっている。得票数の予想から各選挙事務所の様子、投票状況、政策についてなど真面目に話し合う姿が見られる。特に投票日ともなると島全域でソワソワした感じで、家でじっとしていられずに投票所の周りや木陰に集まっては選挙の話で盛り上がっている。
 選挙運動もすごい。家族をはじめ地縁血縁総動員で当選に向け一致団結する。当然のように選挙に勝つためのブレインも各陣営についており、様々な戦術の下に全員が手足となって動いている。
 選挙とは「別次元の世界のもの」と冷ややかに暮らしてきた自分にとって、宮古や多良間の選挙への意気込みは驚かされてばかりだ。これまで選挙というと良い印象を持つことは残念ながらなく、「おっさんたちのドス黒い戦い」これが選挙のイメージだった。
 ちょっと多良間で変わった気がする。多良間で当選者の家を訪れたとき、地域のお年寄りたちが真っ暗な道をテクテクと歩いてくる。
「良い多良間にしてくれよ」。
「しっかり頑張ります」。
もみくちゃになった当選者と硬い握手を交わして励まし帰っていく。
 案外、選挙は普通で真面目なものかも。何てことない当選風景から島のことを真剣に考え、良くしたいという熱い思いが伝わった。



家族や親戚縁者、支持者らが一緒になって
バンザイし当選を喜んだ =多良間村で

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