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〜南の島の小さな劇団〜
  Vol.026
2005/9/1
協力して作り上げた手作りの舞台を
披露する 子ども達 =平良市中央公民館


 宮古の学校には演劇部がない。もちろん大人の劇団もない。今、島に唯一あるのは芝居好きな子ども達が集まって熱意で立ち上げた劇団一つだけだ。この子ども達の劇団がこのほど試演会を行った。
 四月に子ども演劇教室を開講し、団員を募ってから約五カ月。小学生や中学生、高校生たちが二十人ほど集まり、演技も舞台制作についても何も分からないところから始まった。演劇を勉強してきた僕も子ども達からの依頼を受けアドバイザーとして参加するようになった。
 教室では参加者全員が何から始めたらいいのか全く分からない状態。初めて見た顔ばかりの中で突然、大声を出したり演技したりということは恥ずかしがりやの小中高生には最も難しいハードルだった。まずは親しくなることからスタート。互いの距離が詰まるまでなかなか前に進まなかった。
 宮古の子ども達は忙しい。学校のクラブや行事の練習、習い事などで集まった子ども達はどんどん抜けていった。芝居には公演があるため練習を休まれるのが一番困ってしまう。掛け持ちでするには荷が重い選択肢の一つなのだ。半分、遊びに来ていた子ども達も台詞が覚えられなかったり、配役が気にいらなかったりとさらに振るいにかかっていく。
 夏休みの集中練習の頃には、小学四年から高校一年までの芝居好きな十一人が残るまでとなった。人数が減った分、舞台装置や衣装など仕事が増え、夏休み返上でほぼ毎日、作業に当たっていた。
 今回のルールは唯一つ。「自分の舞台は自分で作る」。親や関係のない大人の手を借りないことが子ども達と決めたルールだった。
 何でもやればできるもの。分からなくてもやってみることが重要やね。当たり前のことだけど子ども達の挑戦を見守りながらズシンと胸にきた。
 先日行われた試演会には約百五十人のお客さんが来てくれた。県内のほとんどの報道関係者も駆けつけて応援してくれた。ありがとうございます。子ども達の頑張りで公演は大成功。てんやわんやの南の島の小さな劇団は元気いっぱいやよ。


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