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〜八月踊り〜
  Vol.027
2005/09/20
旧暦八月八日から三日間、多良間島は祭り一色に染まる。三線の音、地謡が島を響かせ、踊りの躍動感が心を振るわせる。島人たちが引き継ぎ守ってきた「八月踊り」。会場は暑いし、台詞も何を言っているのか分からないけれど、舞台に引き込まれてしまう。
八月踊りは一年の豊作を祝い、向こう一年の豊年を願うお祭りの一つ。子どもから大人までが三線と民謡に合わせて様々な踊りを踊り楽しむ。仲筋、塩川と二つの地区に分かれ、別々の日にそれぞれ演目を披露し、互いに鑑賞する。三日目は両方が同時に踊りを披露する「わかれ」という日で締める。
中でも心惹かれるのが「組踊り」。両地区でそれぞれ違う二演目を持っていて、仲宗根豊見親ら宮古の歴史上の人物にまつわる話を三線、歌、台詞とともに島人たちが踊り演じていく。歌舞伎ほど華やかでなく能ほど静かではないが、情感そのものの地謡と一定の型で表現していく組踊りは涙を引き出すほど心を動かす。
京都にもたくさんの祭りや芸能が存在する。多良間と大きく違うのはいずれも住民たちの手を離れてしまったということ。伝統や歴史、芸術性などという言葉とともに一部の人たちの「物」となると同時に、関心や興味、楽しさも住民の心から離れてしまった。
八月踊りは島を挙げて開催する。観客という立場ももちろん、演者、衣装係、メイク、三線、運営・制作を子どもから大人までみんなでやる。お年寄りは舞台の最前列で見ており、本番でもお構いなしに役者たちを指導。自分が上がって手本を見せるときすらあるほど。継承や伝統という他人事のような言葉がこの島では目の前で繰り広げられる。
楽しんでいるという雰囲気は島だけにとどまらず島外、県外にも伝わっている。一度でもゆっくり見たら分かる。観客という役で参加し、みんなで楽しむという素敵な空間をぜひ体感してみてほしい。

たくさんの観客、選手らが見守る中、バッティングを披露するイチロー=平良市民球場
出演者ら全員が顔見世する演目「福禄寿」=多良間村字仲筋の土原御願所


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