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〜航海実習〜
  Vol.029
2005/11/1
 宮古には五つの公立高校がある。うち二校は普通科の高校で、残る三校は農業、工業、水産の各専門高校だ。正直、羨ましい。自分の高校時代にもこんな明確な専門高校があれば断然、入学していたと思う。宮古の学校は実にバラエティーに富んでいる。個性ある学校づくりといわれる中、こんなに個性豊かな学校があるということをもっとお知らせしたい。
  つい先日、水産系の翔南高校のマグロはえ縄漁業実習の出航式があった。高校二年生がオーストラリアまでの道のりを往復し南方海域でマグロ漁業を体験するというもので、約二カ月にわたる長期実習だ。
  聞いただけでも羨しいこの実習。船長さんも機関士さんたちもしっかりついていて安心万全な体制。港には涙を流し我が子の出航をカラーテープを手に見送る保護者。「蛍の光」に合わせて離岸する船から手を振る子ども達。このシーンを体験できるだけでも入学してよかったと思える。赤道を越えたり、入港したり、漁をしたりと船上での暮らしを想像するだけでもワクワクしてしまう。


カラーテープを持ち保護者らとの別れを
惜しむ実習生ら=平良港第二埠頭で
 何の考えも情報もなく当然の選択肢として普通科に進学した自分にとって専門高校という存在自体にとても憧れてしまう。高校生の時に農業でも畜産でも、今回のように漁や海洋技術、ダイビングの勉強もできてしまったりする授業。さっぱり分からない車の整備や服飾デザイン、料理の勉強などを選択できることは一編通りの思考回路に大きな革命を起こす。
  自分が何者で、何ができて、何が好きで、何を得意とするのかを真剣に考えることが子どもからお年寄りにまで求められるこの時代。大学入試も大切な課程だが、有名校を卒業した多くの日本人がリストラされたり、思い悩んだりしている。自分が進んだ普通科を否定するわけではないが、世の中の前後左右が見え始める高校時代に、動物と過ごしたり、土と時をともにしたり、大海原に描かれた赤道をまたぐ経験が可能ならば、挑戦するに越したことはない。
  実習船を見送りながら、船に弱い自分でも、もし乗れるなら一緒に行ってみたいと想いを馳せる。今さらながら専門高校は素晴らしいよ。
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