宮古島ドットコムの連載企画
「宮古島はちゃめちゃ移住計画」



vol.001 2月27日 「よろしく!宮古島」


 引越しの当日、夕方遅くなってから宮古島についた。「よろしく!宮古島」これからの人生がここにあるんだ。そう思ったら胸が熱くなってきた。
しかし、感傷に浸っている暇はない。1週間前に送っておいた車がS自動車に到着しているはずである。
 取りに行くと本当に人柄のいいご夫婦が気持ちよく迎えてくれた。「スタートからいい感じだね。」夫や両親と話しながら不動産屋に電話。
鍵をもらいに行き、宮古島の友人、徳ちゃんを従えてドキドキしながら借家のある上野村に向かった。「大丈夫だよね。どうなっているか心配だね。」
本当なら4月から入居の予定だったが仕事の関係で6月になったのだが・・・。「4月から入る予定になっているのだから大丈夫だよ。」夫に言われ少しだけ不安を残しながら到着。

 鍵を開け、」家に入ると真っ暗で、何か畳の上が青く光っている。電気をつけようとスイッチを入れたとたん、バチ・バチ・バチ!
「キャー!何?これ?何?」火花が散った。
急いで車に戻り、懐中電灯で配電盤を見ると、電気の線が破れていて漏電、ショート、スパーク。あわや火事になるところだった。
続いて、あの光っていた所に懐中電灯を当てると、な・ん・と・畳一面のカビ。10CMも高く上に伸びているではないか。
「ひゃー!かびだ。かびだ。」「ぎゃー!」「なんでこうなってるの?」両親、徳ちゃん、誰ともなしにすごい声が飛び交う。
あわてて、不動産屋に電話したら、涼しい声で「ああ、カビですか?電気?おかしいな?電気屋に言って今日、つくようにいったのに・・。まあ、今日はどこかのホテルに泊まってください。」という返事。
「何いってるの?ふざけないで下さい!」「いやー。今日は無理ですよ。」 
「ホテル代はどうするんですか?大人4人ですよ。」「ホテル代は自分たちで出してください。」
「ハアー?」「電気はどうなっているんですか?」「ああ、電気屋に言っておきますから。」
大変な引越しの初日になった。とりあえず、徳ちゃんの家に泊まらせてもらい、喧々囂々。その夜は何を食べて、いつ眠ったのか今思い出そうとしても思い出せない。よほど心身ともに疲れていたのだと思う。

 翌日、家に入るとなんと、前の人の荷物やら仏壇、遺影、汚い布団など、どの部屋にも汚いごみのようなものがあふれていた。
これで、敷金、権利金、礼金を取るなど内地では考えられない。(沖縄の人は本土のことを内地という人が多い)水道も使えない。
まず、シルバー人材センターに電話して、2日間掃除をした。畳を替え、空気を入れ替え風呂に入ろうとした。最初はお湯が出るのだが少しすると水になる。何度しても同じだ。昨日もその前も風呂に入っていない。私たちはもう、限界だった。
また、不動産屋に電話。「ああ、それ、温水器ねー。壊れてるから新しいのを自分で買ってください。水道でますか?」だって!
「出なかったので水道局に昨日申し込みに行ってきましたよ。引越しの日にち伝えといたでしょ?どうしてやっておいてくれないんですか?」
「水道は本人が行かないと申し込めないんですよ。」また、白々しい嘘でかたづけられた。水道は誰が申し込んでもいいということでした。
本当に何から何までやってない。何にも何にもやってない。4月からわかっていたはずなのになんということだ。
究極の最後の言葉。「まあ、これが宮古島です。」涼しい顔で言った。


我が家からの風景

 家の駐車場に車を置くことが出来ない。4月に借りに来た時には小さな苗のような物が植えられていた。
「これは何ですか?」「ああ、これね、抜いておきますから自由に駐車場に使ってください。ブロックも壊していいですよ。」そう言っていたのに・・・。
気にもしなかった所が、いつの間にか凄いサトウキビ畑になっていて、しかも150CMはあると思えるほど伸びきっている。
また、不動産屋に電話する。「ああ、あれね。誰か勝手にこの土地で作っているんだから切っていいよ。」と、言う。
また、4人で家族会議。「勝手に切って後で揉めても困るから少しだけにしておこう。」ということになり、家に入る道にキビが倒れていて入れないので被っている所だけ父が切った。数日してすぐにもめた。誰かがキビを作っていた人に伝えたのだった。しかも、一人ではないらしい。
  「あんたらか!キビ切ったの!みんながキビを切ってる人がいると言ってきた。キビは俺らの命だ。何で切るんだ。」
「すいません。我が家の駐車場で、この場所込みで不動産屋から借りているのです。」「9月になったら刈り取るから待ってくれ。」「はい。」
キビの小さな戦いは終わった。9月までは駐車場として使えない。でも、この事件から彼と急速に仲良くなれた。彼の肌は南国の人そのものでおまけにイケメン。そう、ハンサムである。そして、とても働き者だと知るまでにそれほど時間はかからなかった。
 その後、数日間は家のゴミ出し、草刈、網戸の張替え、風呂、どれだけ余分な労力とお金を使ったことか・・・。
それなのに不動産屋は逃げる一方。何度電話しても来ない。不動産契約書も持ってこない。仏壇、仏壇にある大きな写真や小さな写真。怖い。本当に嫌。何とかして欲しいと思っていた。ところが、とことがである。私と夫が買い物に行っている間二人の女性が我が家を訪ねてきた。
父からすぐに帰るようにと電話が入る。どういうことかわからず急遽、家に帰ることにした。
彼女達は「実家に帰ったら知らない人が住んでいてびっくりした。どういういきさつでこの家に住むようになったのか?誰が間に入ってるのか?」
「はい、不動産屋を通して借りました。」
「今日は仏壇を拝ませてもらいます。台所を貸してください。」そういって、勝手知ったる実家という感じで台所でなにやらはじめた。
  2時間くらいお話をしたのだがもっと、驚いたことを言う。「今度は8月に来ます。その時は泊めて下さい。」
「困ります。私たちは不動産屋を通して正規にお借りしているのです。ただで借りているわけではありません。」
「二階を貸してくれればいいんじゃない?八月はお盆だから親戚みんなで来るから。那覇から来ていつもこの家に泊まる習慣になっている。前に貸した人は泊めてくれた。数日だから。他の部屋も使ってるの?この家は大きいから大丈夫でしょ?」
参った。本当に参る。私たちは必死だった。両親も「私たちは7月に帰りますがこの家は広いように感じてもどの部屋も荷物でいっぱいだし、まだまだかたづけに時間が要りますから人様をお泊めするわけにはいきません。」
一人じゃないのです。家族で来るって言うのです。私は必死に反抗した。「絶対に困りますから。それより、この仏壇のお位牌と写真を持っていってください。あなたのご両親なんでしょう?」
「私は嫁に行って仏壇の権利はありませんから。弟が長男で弟に聞かないと・・・。」


宮古島の夕日

「なぜですか?知らない私たちと一緒に置くよりも小さな位牌ですから持っていってあげたほうがお母さんたちも喜ぶと思いますよ。 写真も持っていってあげてください。」押し問答の結果、結局、全て置いたまま彼女たちは一旦引き上げた。
どうも、その足で不動産屋に行って事情を聞いたらしい。
「今夜は泊めて欲しい」という言葉に半分怒りが込み上げた。何故なら、二人で来ていた片方の女性が宮古島に住む現地の人だったからである。
(自分が泊めればいいじゃん。)心でそう思った。
幼馴染みというその彼女が仕方なく口を切った。「ねえさん、うちに泊まっていいよ。」

結局、彼女の家に泊まることになったらしい。後日論だが、その彼女は宮古島でも数少ない豪邸に住んでいたのである。

8月の旧盆に家族中で我が家に来るのかと、心配していた矢先、その事件は起こった。

 私は歌の仕事で8月に入り夫と内地にいた。明日、宮古島に帰るというその日、電話が鳴った。大家さんからである。
「あんたらが居ないから家に入って皆で先祖のお参りをした。位牌は持っていったから。」

「はあ?勝手にみんなで入ったのですか?」
「おお、居なかったから。親戚中で入ったから。」「それって不法侵入ですよ。」言ってる間に電話が切れた。
少なくても全財産が置いてあり、大切な宝石や株券もある。いったい何人で入って何人で泊まったのか恐ろしくなった。
未だに解明されていないが・・・。
  家に帰ると夫はその足で大家さんの家に向かった。「合鍵をください。居ないときに勝手に入られると困るのです。」
押し問答の末、1時間もかかって合鍵をもらってきた。もう、何がなんだかわからなくなり暑さと怒りで倒れそうだった。
夏の盛りであった。

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