宮古島ドットコムの連載企画
「宮古島はちゃめちゃ移住計画」



vol.003 3月6日 「宮古島の不動産」


引っ越してから毎日、掃除、掃除で疲れてきっていた。

まだ、テレビも見られない。静岡を出るときに友人達から頂いたお餞別でベットを購入したのだが、それもまだ届かない。


最後の家族旅行・・・青森不老不死の湯

仕方なく、まだ片付けていていない、荷物の隙間を見つけて板の間に布団を敷き眠った。

ちょうど雨が続きなんだかべたべたしている様に感じる。

数日後、宮古テレビに受信の申し込みに行き電気屋さんに配線してもらう。

やっと、テレビが見られる。当たり前のような事が当たり前に出来ていない。宮古島の不動産屋が全部そうだとは言わないけれど、内地にいた時からいくつかのホームページを見て不動産屋にメールを送っても、一つとして返事が来なかったのは事実だった。

こちらに来て返事が来ない理由が少しわかったような気がした。自分たちでホームページの管理をしているわけではないらしい。

この、借家に住むように決めるまでの3年間、私たちは宮古島に何度も足を運び、裁判所の競売物件や不動産をかなり真剣に探し回った。何度も入札に宮古島まで出かけ、ある時、希望の物件が私たちに決まりそうだった。

・ ・・裁判所での光景・・・


最後の家族旅行・・・青森県桜並木

木箱の鍵を開け入札の封筒を開き読み上げる。私たちの名前と金額が最後に発表された。「やった!あの家は私たちのものだ!」

なぜか、うるうるした。ひどい風邪をひいていたのに、がんばって宮古島入りをして、毎日鍼灸マッサージに通いながら待った発表だった。

「あれ?おかしいですね。もう一通あるはずなのに・・・。ちょっと待っていてください。」入札結果の開札に集まった数人を残し、

その人は部屋を出て行った。

「ありました。この方が一番ですね。」そういって名前と金額を発表した。

「ちょっと待ってください。おかしいじゃないですか。その封筒は何処から持ってきたんですか?」一緒に開札結果を聞きにきていた徳ちゃんが叫んだ。「何のために木箱に入れて鍵を掛けているのですか?おかしいですよ。」「いえ、これはもともと入札の箱に入っているはずなのですが手渡しで持ってきたので事務員が入れ忘れていたのです。締め切りには間に合っていました。問題ないです。」

「裁判所がそんなことしていいのですか?この人たちは前回の競売物件でも保証金だけ払わされて物件は手に入らなかったのですよ。宮古島の恥じゃないですか。」矢継ぎ早に徳ちゃんが言ってくれた。周りの人たちはそろそろと帰り始めた。

残された私と徳ちゃん、そして、この物件を落札した人、裁判所の人。

私は我慢できず知り合いの弁護士さんにその場で電話をした。理由を話したら裁判所に落ち度はないという。木箱に入っていなくても期日に裁判所についていれば有効らしい。「裁判にかけるより、縁がなかったと思いなさい。」というアドバイスだった。

仕方なくその部屋をでる。徳ちゃんは怒りまだ収まらず「松井さん、ちょっと待っていて。」そう言ってまた、その部屋に入っていった。風邪と疲れと怒りで何がなんだかわからずにボーっと立っていた。

 1年前、特別売却の物件を申し込んだことがある。「少々シロアリ被害あり」ということだったが競売物件なので中を見ることができない。保証金を裁判所に払い、チャンスがありその家を見に行き驚いた。柱の向こうが見える。四角い柱が透明になっている。歩くと床が抜け落ちそうなくらいシロアリに食べられていた。すぐに裁判所に行き「シロアリ被害少々」と書いてあるがひどすぎる。と訴えたが「裁判を起こして返金要求してください。」と言われ裁判所に要求したけれど「却下」という、手紙が届いき泣く泣く保証金をあきらめたのである。その後もいろいろあるのだが、あまりひどいことが続き、書くのも思い出すのもつらい。未熟な私達の試練の日々だった。

部屋の外で待っていた私の肩をぽんと叩き徳ちゃんが言った。

「ひどいよなー。あれはないよな。落札した人にその物件、あの人に譲ってあげてよ。と頼んだけど店をやりたいからだめだって言ってたよ。ごめんね。力になれなくて。」徳ちゃんも肩を落としていた。すると、向こうから歩いてくる人がいる。

「やあ、久しぶりだねえ。」徳ちゃんが声をかけた。「あれ?こんな所で何してるの?」「この人は内地の松井さんというのだけど一緒に競売物件を見に来たんだよ。」「へえ?で、どうだったの?」「だめだったよ。」「今から売り物件を見に行くのだけれど一緒に行きますか?」

彼は不動産を扱っているという。「松井さん、どうする?」徳ちゃんが私の顔を心配そうに覗き込む。「行く。」私達は彼の車の後をついて走った。徳ちゃんがボソッと言った。「なんで買えないのかなあ?」「そうだね。まだ宮古島に来るなってことかしら?それとも、神様がその家じゃないよって言っているのかしら。けっこう、突然、ぽこって出てきたりしてね。なんだー。ここだったのね。って感じで。」「そんな物かも知れないねえ。」不動産屋の彼が紹介してくれたのは、海のきれいなインギャーマリンガーデンのすぐ近くの家だった。

「どう?」と、徳ちゃん。「うーん。ちょっと違うね。」そう言って外に出る。

「待ってくださいね。後1軒、寄りたいところがあるんで・・・。」その人は言った。「いいですよ。ついて行きます。暇だから・・・。」

 マリンガーデンから5分も走っただろうか。海が見える大きな家に着いた。「ここは何?」「ええ、借家で私が頼まれているんですよ。でも、もう入る人は決まっているんですけどね。中を見ますか?」「ええ、もちろん。」私達は彼の後に続いて入っていった。

「ここは手付けはうってあるんですが仏壇があったり、前の人の荷物があったりで、借りたい人が若い夫婦なので、そういう、もろもろの事で揉めているんですよ。」

「じゃあ、私に貸して下さい。」「そうですねえ。今日中に先方から決定の報告がありますから夕方まで待ってくれますか?」「いいですよ。でも、私は明日の昼頃の便で帰るのでそれまでにお返事下さい。」

「では、決まったらすぐにお電話しますからあなたが借りることになったら契約書にサインして手付けを払ってくれますか?」

「はい。いいですよ。仏壇とか何とかなるんでしょ?」「それは、こちらでちゃんとしますから大丈夫です。」「あと、家の中の荷物は?」「大丈夫です。ちゃんと引越しまでには片付けておきますから。その代わり、家賃は契約ができたらお願いしますよ。」


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ここで徳ちゃんが登場してくれた。「それは、あなたと私でゆっくり話してからにしましょう。全ては決まってからですよ。」

「そうですね。」

それから私達の引越しの日程が決まるまで、徳ちゃんの大奮闘が始まった。

大家さんとの家賃の交渉。掃除のこと。仏壇のこと。全てを徳ちゃんに任せて私は静岡へと帰って行った。

こうして、今の家に住む事になったのである。

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