ぎゃー。怪獣だー。宿無しのヤドカリ
今日、小泉ちゃんのデビュー曲のCDが届いた。
朝から彼のCDデビューコンサートの台本の仕上げやビデオカメラマンとの打ち合わせを
電話やメールでした後、タイム・スケジュールを作成していた。
午後になってから二階から下に降りて作業を始めた。あまりの暑さに嫌気が差していたが、どうしても今日中にメール便で
台本やタイム・スケジュールを彼らに送ってあげなければ練習や詳しい打ち合わせが完了しない。
四時までに出しに行かなくてはならない。昨夜から徹夜で少し疲れ気味だったが夕方このメール便を届けたらそのまま釣りに行くつもりで頑張っていた。昨日の大漁の感動が忘れられない。額から出る汗を拭いていると玄関口で車が止まった。
「やばい。誰かきた。」浜川聡・博子夫妻が相変わらず優しい笑顔を満面に入ってきたのである。
久しぶりの来客にうれしく思うと同時に「困った。もう、間に合わない。」頭の中でどうしよう。と考えながら「いらっしゃい。うれしいわ。コーヒーでも入れましょうか?」と、言っていた。博子さんの手には、いっぱいパンが入ったビニール袋が握られていた。
「どうぞ。」博子さんがそのパンの袋を差し出した。
忙しくて昼食を食べ忘れていたので「わー。おいしそう。ありがとう。」と受け取り
すぐにコーヒーと、パンで遅くなった昼食をとり始めた。この夫妻は平良市の西里通りで寿司店を営んでいる。
私たちが宮古島に永住するきっかけを作ってくれた人たちである。
特別な話もないのでお互いに世間話を始めた。一時間も過ぎただろうか。
彼らは開店準備のため帰って行った。
また、すぐにパソコンの前に座り続きの仕事をはじめた。
小泉ちゃんに出す書類は何とか今日のメール便に乗せられそうだ。
夫に頼み、空港近くの宅配事務所に届けてもらった。後はビデオ会社の社長に出す書類が残った。
冷たい水を飲んで頑張って作成していると帰ってきた松キヨは、今夜のおかずに
「この前釣った魚を煮てくれ」とうるさい。「わかったわよ。」やっと、落ち着いたと思ったのに・・・。
宮古島上空、ここは何処? |
私は凍った魚を水で洗い始めた。
「ちょっと、会長の家に行ってくる。」そう言ってバイクで出かけて行った。
なかなか帰ってこない。「まあ、いいか。魚を煮ちゃおう。」
いつの間にか外は真っ暗になっていた。彼は一杯飲んで歩いて帰ってきた。
そのころ、煮魚は鍋とともに真っ黒に焦げていた。
「うーん。残念。」もう、嫌になっちゃう位、暑さで集中力がなくなっている。
「とにかく暑いから涼みに博愛漁港につれてって!」「冷たいもの買いたい!」
「夕食なんて後にしよう。私はさっきパンを3つ食べたからおなか空いてないし。」
続けざまに言った。
「お母さん、ひどい。」等と言いながら軽トラックの助手席に座りドライブに付き合うことにしたらしい。時間はすでに八時半頃になっていた。
博愛漁港に行くまでの道中のこと、「あっ。松キヨ、(夫の愛称:まついきよしだから松キヨ)カニ。カニ。」「どれ?」
「ほら、カニだよ。」「ちょっと、戻ってみろ。」
「お母さん、こりゃあ、ヤドカリの宿のないやつだぞ。」「うっそー!」「でかいぞ。」
「ねえ、もしかしたらこれってヤシガニじゃないの?」「そうかー?」
「ちょっと、後ろにタモがあるから採ってみれば?手で触っちゃだめだよ。」
「うん、わかってるよ。」
まずは一匹。その後、ホテルの近くの自動販売機で飲み物を買う。
「なんだー。これ。冷えてないじゃん。」ぶつぶつ言いながらまた、車に乗り込み、わざと遠回りをして博愛漁港に向かった。
「あっ。あれ何?」「なんだぁ?すげえなあ!今度は本物のヤドカリだ。お母さん、見てみろ。俺のげんこつより大きいぞ。」
車を止めたとたん、彼はヤドカリを手に持って私に見せた。「本当だね。」二人で大笑いをして「これなら焼いて食べられるかもね。」と話しながら車に乗り込んだ。
少しいくと「おい。あれは何だ?」まただ。車を止めてみてみる。
「ぎゃー。なに?これ!何?これ!怖い。怖い。触らないで。危ないよ。」
私の頭くらいある、さっきと同じヤドカリの宿無しだ。「これ、本当にヤシガニなの?」
「わからん。でも、もし、これがヤシガニなら、すごいぞ!うまいって言ってたぞ。」
「お父さん、気をつけて!ギャー。危ない。ヤシガニなら触ったら指が切れるって!」
「とった。捕まえたぞ。」
私は急いで後ろに積んだあった発泡スチロールの箱を差し出した。すぐに大きな生き物は箱から飛び出した。
上から押さえつけ、水タンクで重石をした。
百円金一メガネはウルトラマン |
もう、ドライブどころではない。博愛漁港どころではない。「早くうちに帰って会長さんに聞いてみようよ。」
「そうだな。持っていったら、ただの宿無しのヤドカリだって笑われるかもしれないけど。」後ろでがさがさしている。
会長の家にいく間の五分間、また、三匹も捕まえてしまった。「これがヤシガニならこれで商売して生きていけるかもね。」
大笑いをしながら会長の家に着いた。