6月19日、「今夜はワールドカップを見るから夜釣りに行けない。」と、友人の誘いを断った。船で夜釣りなんて、すごくリッチで素敵!でも・・・
普段はあまり、サッカー、サッカー!なんて言わない私たちだけど、静岡出身の選手も多く出ていることや、4年前は故郷でワールドカップの試合が行われたこともあり、結構、気分的に盛り上がっていた。「お母さん、今夜はテレビを見ながら酒でも少し飲めよ。」「うん、梅酒でも飲んでみようかな?」「そう、そう、少し飲むとテレビを見ていても盛り上がるからな。」寝室にテーブルを出してちょっと遅い夕食を取る。テレビでは「もうすぐキックオフ」なんて感じの番組をどこも放映していた。「いよいよだね。」「おう。」9時になった。「あれ?やっていないよ。」「お前、勘違いじゃないの?10時からじゃないのか?」「そうだったかな?」私はテレビのチャンネルを変えてみた。「お父さん、やっていないよ。」「やっぱり、10時だよ。」そう言いながら酔っ払ったのか、夫はすやすやと眠ってしまった。一人でチャンネルを回す。独り言のw)ように「どこでやっているのよー。」「10時になったじゃないのー」「パパ、起きてよ。10時になったけどこもやっていないよ!」「俺に言われても知らん。どっかでやっているはずだ!リモコンをよこしてみろ。」チャンネルを回す。
「ないぞ!なんでだ?」「おかしいじゃないか。さっきまで、もうすぐキックオフ!って言っていたのに。」結局、12時過ぎまでチャンネルと戦うことになった。すると1チャンネルでニュースが流れた。「引き分け」何?何?もう、試合が終わったの?東京のスポーツ居酒屋で盛り上がっている風景が映し出された。その後、同じチャンネルで残りの2試合が実況で放映されている。なんで?なんで?なんで日本の試合だけ見られないの?
パパは島人?ハーリーで料理人に・・・ |
翌日、新聞配達の人に聞いた。「やっていたと思いますよ。」「やっぱり、どこかでやっていたんだ!ショック!」2日後、夜釣りに連れて行ってもらった。「ねえ、この前の19日、サッカー見た?」「だっからよー、やってなかったじゃん。俺、あったまに来たよ。みんな頭にきてるはずさー。」「やっぱり、やっていなかったよねー。」「そのあとの試合はやっていたけど、日本はテレビではやっていなかったはずよー。」「でも、今度のブラジルはやるはずさー。」そして・・・22日の夜、ブラジル戦。今度こそと、テレビの前に座る。「今日もテレビからはサッカーの番組が消えた。「俺は寝るぞ!」結局、次の日、ニュースで負けを知った。負けても見たかった!くやしー!たかがサッカー、という人も居るけどなんだか非常にショックが大きい。サッカーを見られなかったこともショックだけど、もっと大きい何かが私をへこませていた。「これが宮古島だよ!」夫は言った。「だから?」「テレビなんかあると思うな!宮古島」「俺は標語を作った。どうだ!いいだろう?」二人は遅い朝食を食べながら大笑いをした。結局、日本の試合は見られなかったけれど、最後は久しぶりに大笑いをしたからまあ、いいか・・・・。
それから幾日か過ぎた日、夕方電話が鳴った。「もしもし、今夜は何時まで営業していますか?」「予約して頂ければ何時でもいいですよ。」「じゃあ、8時頃伺います。山川です。」
電話の向こうからとっても元気のいい声が聞こえてきた。「何名ですか?」「3名で作りたいのですが・・・」「お待ちしています。」・・・はたして彼らはやって来た。7名だった。
山川さん一家の登場である。お祖母ちゃん、お祖父ちゃん、ご夫妻、少女3人の7名・・・。
小さなアトリエはテンヤワンヤになった。ほぼ1時間かけて万華鏡を作った。「宮古島ドットコムのはちゃめちゃ移住計画を読んでいて宮古島に来ようということになりました。2度目の宮古島入り。」「そうそう、絶対に万華鏡館に行こうと決めてきました。」若くてスタイルのいい上品な奥様が目をキラキラさせて言った。その脇でお祖母ちゃんが夫の作った万華鏡を熱心に見ていた。お祖父ちゃんは静かにシャコガイの貝殻を手にとっておもむろに言った。「これ、お土産にひとつ私に下さい。」「え?ああ、いいですよ。」「うれしいなあ。」
爽やかさいっぱいのご主人は、一生懸命子供たちの万華鏡作りに精を出していた。「ヤシガニを見たいなあ。」「そうそう、カニの抱卵も見たいね。」「じゃあ、この後一緒に行きましょうか?」「いいんですか?きゃー!うれしー。」私たちはインギャーに向かって車を走らせヤシガニ見物を始めた。その後、池間島に向かった。でも、やっぱり時期が早くて感激するような光景は見られなかった。12時過ぎに自宅に戻ると、「疲れたね。でも、久しぶりに楽しかったね。」と話しながら遅い夕食をして眠った。翌朝は彼らと一緒にマンゴーを買いに行く約束のため、夫は早めに起きて水槽の水を交換するため、港に向かった。彼らの車とすれ違う。早い!もう、来ちゃった。急いで家に戻り、マンゴーの相談。
そして、その夜は10時を回っていたが山川ご夫妻と待ち合わせ。海の見える芝生の上で夜も更けるまで、お酒を飲んだ。私たちの苦労話を聞きながら、爽やか夫婦はいろいろと細かいアドバイスをしてくれた。(そうだ。私たちは宮古島に来る前は、もっと、素敵な思いで胸を弾ませていた。いつの間にか、こんなモンだな。なんて、逃げていたことがいっぱいある。もう一度、あの引っ越してきたばかりのパワーを思い出して、いろんな事にチャレンジし
カニの抱卵 |
てみよう。)久しぶりに燃えてきた。宮古島に引っ越して来た時の熱い思いを思い出させてくれた若い山川さん夫婦に、感謝せずに入られなかった。いつの間にか、いろんなことにがんじがらめになっていた自分たちがそこに居た。もっと、自由に楽しく暮らそう。もっと、大きな声で笑っていよう。歌いたいときに歌おう。泣きたいときに泣こう。そんな、簡単なことさえ、宮古島に来て1年で忘れてしまっていた。彼らは実にたくましく、大らかで屈託がなかった。あのときの電話の爽やかな声もうなずける。若いのに、こんなに頑張っている夫婦もいるのだと思うと、毎日をダラダラ、グズグズと過ごしていた自分たちが恥ずかしくなった。彼らは短い時間で私たちに何を置いていったのか知らないだろう。でも、私たちの中でくすぶっていた消えそうな火を、再び燃え上がらせてくれたのだ。今度、彼らに会うときには「カッコイイ親父とオバサン」になっていよう。心に誓った。旅人に癒しを与え、旅人に癒してもらう。そんな繰り返しの私たちだけれど、何年か過去っていった時、宮古島に訪れる旅人が「ただいまー」と、帰ってきてくれるそんな場所になっていたいと思う。
【ヨッシーの方言講座】 キズムカギピストゥ
「心の美しい人。やさしい人。」と言う意味。