あんたは汚い松井と友達か?
「この馬鹿は汚い松井と付き合っているよー。」ある人が言われた言葉である。本心は聞きたくなかったが・・・。
汚い松井?ってどういうこと?私達はその言葉を言ったその人に、4回しか逢っていない。しかも、1度目は寿司屋の夫婦の紹介で訪ねたことがあった。2度目は寿司屋の店内。3度目は静岡に居たときに我が家に尋ねてきて1時間位遊んで帰った。4度目は上野に引っ越してきてから数ヶ月がたったころだった。私達は直感で彼女との付き合いをしなかったのだ。どうも、それが気に入らなかったらしい。親分が子分を連れてきたような感じで男女2人を引き連れて彼女は上野の我が家を訪れた。「なんで宮古島に移住したことを隠していたか!タウン雑誌で見てはじめて知った。」と、大きな声で喚きながら入ってきた。とりあえず、飲み物を出した。大きな体がパワーストーンの手作りコーナーにどっしりと収まっていた。私はとぼけて言った。「あれ?寿司屋の人から聞いたと思ったよ。」「知らない!」(ああ、気を使って言わないでくれたんだ)「そう、知っていると思ったよー。」「何で言わない!」結構きつい口調で言ってきた。(何で貴方に知らせなくちゃあいけないの?)そう思ったけど口には出さず「冷たい飲み物でもどうぞ。」私は3人に改めて勧めた。しばらく無言でパワーストーンのコーナーを見ていたと思ったら、いきなりこう言った。「何でこんなに石を安く売っているか!」「えっ?別にいいじゃない。安くても生活が成り立っていくんだから・・・。十分だよ、この金額で・・・。」「・・・・」
ウーン?万華鏡の中の映像が
うまく映らない・・・奮闘中の夫 |
お客様が2名入ってきたが座る場所もないし巨体が真ん中の椅子に座っているので狭い店内に通り道さえなくなってしまっていた。そして、帰って行った。その後すぐに3人の観光客が入れ替わって入ってきた。瞬間、彼女が言った。「ゴミだから安くなるんだ。」「はあ?どういうこと?何?どういうこと?」「ゴミの石だから安い。」客は帰って行った。「ゴミの石?」夫が声を上げた。「あなたねえ、私達の仕事を応援に来てくれたの?邪魔してつぶしに来たの?」一緒に来た2人は、何も言わずにうつむいていた。一人の女性が思い出したようにお土産だといってサータアンダギーを差し出したが気持ちよく受け取れなかった。そんな会話をしているときまた、観光客が入ってきた。今度は勇気を出して言った。「貴方達はブレスレットを作りますか?」「作らない!」「じゃあ、すいませんけどこちらのお客様に椅子を譲ってください。外のテラスに移動してくれませんか?」やっと言えた。本人達だって気がつくのが遅いと思う。
彼女は帰るそぶりをしたので「ゆっくりしていけばいいのに・・・。」「これからひとつ、神願いを頼まれているから行かなくてはならない。だから、ゆっくりして行けない。」「ああ、そう。残念だね。また、ゆっくりきて頂戴。」
(二度と来ないで欲しい。)「じゃあ、またね。」これが4回目。それから私達の呼び名は「汚い松井」になったらしい。
実は彼女、私達が静岡に住んでいたときに尋ねてきた理由は天然石の球を販売に来たのだった。その時に持ってきた石はいわゆる「キャッツアイ」という、石で直径8cm位のピンクの石だった。
合成(シンセティック)キャッツアイは鉱物素材を使って、光線の加減で猫目模様が妖しく浮かび天然のキャッツアイにはない色目がとてもきれいで神秘的、本物のキャッツアイの構造を再現したものだ。しかし、なんと言っても合成の石である。多分、私達が石について何も知らないと思ったのだろう。結構高い金額を言ってきた。(そうそう、その時にも男女の子分2名を従えていた)私は床の間に飾ってあった10cmの同じキャッツアイを持ってきて言った。「これ3万円で買いました。」「それと、これはエネルギーが違う。ぜんぜん違う。」あれこれといくつかの高額な石を見せては値段を言うのだがどれも、値段に納得がいかず丁重に断ったことがあった。その後、我が家を隅々まで見学して(アパートなども確認していた)1時間位で名古屋に向かっていった。最近では「汚い松井は何もすごくない。金のあるのはあれの父親だ。」また、聞いた人たちも「金持ちなら宮古島に移住してこない。」などと話題になっているという。落ち込む。私達は金持ちだなんて言って触れ回ったこともなければ静岡に居たときのことを自慢げに話したこともない。「あれの家は何もすごくない。」と言っているが「私達はすごい」などとも言ったこともない。何故たった4回しかあったことのない私達がこんな会話に出てくるのかと本当に落ち込んだ。
多分、そんなこともあってだと思うが「兄弟!」と、いつも口にしていた寿司屋の夫婦が最近訪ねてこなくなった。彼女と仲良し・・・。落ち込むことが続く。
何故そんなことをしたり言ったりするのだろうか。おとなしく、真面目に仕事をして日々を過ごしていたのに・・・。
彼女がしている神願いとはどんなことなのだろうか。「あんた地獄に落ちるよ。」「先祖が祟っているよ。」とか、「先祖が怒っているよ。」とか言うらしい。まるでテレビでお馴染みのなんとか先生のような人だ。(あんなにキレイではないけれど)結局、今、ゴミだから安いと言われた天然石の、私の店は毎日のようにお客様で満員になっている。
人々はユタと呼ばれる人や占い師に何故、自分の事を話すのか。
それは、自分の背中の重荷を下ろして欲しくて訪ねるのだと思う。それなのに彼女らの口から出てくる言葉は恐れと不安を増長させる。神のことをする人ならばもう少し人格も磨くべきだと思うことが多々ある。特に宮古島には神願いをする人たちが大勢居る。神の言葉だと言って多くの人々が恐れと不安を貰って帰ってくる。
お金を出して神願いをする。そして神願いをする前よりも多くの不安と絶望を感じて家路に着く。こんなことが日常茶飯事に起きているのが宮古島のひとつの特徴でもある。
こんなブレスレットが出来たよー!
観光客の皆さん |
幾らなんでも宮古島にはお化けが多すぎる。昔の言い伝えも大事だし、風習も大切だと思う。神社も願所も大切にしていくべきだと思う。ただ、司と呼ばれる人や神願いをするユタと呼ばれる人の中には本当に見えるのだろうかと疑いたくなる人も多く居ると思う。とくに、こうしなければ貴方は死ぬ、とか、これを買わないといけないとか、そういった人たちが本物のユタと呼ばれる人や神願いを真面目にしている人たちの立場を脅かすのであろう。
「人の振り見て我が振り直せ」改めて自分にも、言って聞かせた言葉である。
死の恐怖や先祖のたたりの恐れを抱いた人たちが石を見に来る。そんな人たちが後をたたない。嬉しいけど私はあえてこう言う。「石なんてただのきっかけですよ。気休めです。もし、背中が重いと感じたら何か悪いものがついたと思わずに「ああ、私にも守護霊様がついていてくれる」と思ってください。そんなに簡単に霊界とアクセスなんて出来ませんよ。嫌な「気」がしたら大きな音を出して手を叩いてください。嫌な「気」が簡単に切れます。貴方を不幸にしようと思う、ご先祖様はいませんよ。ご先祖様はみんな自分の子孫繁栄を願っています。」と・・・・。「そうですよね。ありがとう。」明るい顔をして店を出て行く。
ゴミだと罵られた石のブレスレットを身に着けて、うれしそうに・・・